2012年5月アーカイブ

日本橋を歩いていると、「おかえりなさいませ、ご主人様」を連呼する女の人がいました。
すごく気分が悪くなりました。
気分が悪くなるというよりも、とても不愉快でした。
不愉快になったのは、彼女がブサイクだったからではありません(「ブスがメイドの格好しやがってよ」とか、そういうのではないです)。
「おかえりなさい」という言葉を使っていたからです。

「ようこそおかえり」というのは、天理教が発明したコピーだったのではないのでしょうか?(間違ってたらすみません、間違ってたら誰か指摘してください)
なぜ、こんなにも手軽にパクられているのか?

「おかりなさい」という言葉は、(家庭以外できくことはほとんどないですが)心が休まる良い挨拶だと、僕は思います。

ハイデガーの見立てでは現代文明はハイマートロス(故郷喪失)です。故郷喪失者の気分を皆が感じているところに「おかえりなさい」とやられると、やっぱり誰もが安心するんじゃないかな。それこそ本当にホームレスの方じゃなくても(ちなみにドイツ語のハイマートロスを英語でいうとホームレスになります)。

天理の詰所では「ようこそおかえり」と書いてるところは少なくなりました。
クリシェ(紋切り型の決まり文句)になったと思われてるのかな。残念です。

天理教にこの強力なコピーを奪還してほしいところですが、多分無理だろうなぁ、とかいったら破門されますね。

自分の事業所では、やっぱり利用者さんに安心してもらいたいから、「ようこそおかえり」とは発声しないまでも、それくらいのホスピタリティでやっていきたいと思います。


先日、嫁のお祖母さんがお亡くなりになりました。

とても天理教がお好きで 痴呆が進んでほとんどのことをお忘れになられても、信仰だけは忘れないでいたそうです。お道の話しをする時は、いつも楽しそうにされていたと聞いています。

信仰っていうのはこういうことなんだと思います。

いくらお勉強をしようが、難解な議論をしようが、「我こそは信仰の真髄をわかっている」と豪語しようが、知識(knowledge)や情報(information)がどんどん無くなったあと、何が残るか。

こわいですね。

父が晩年、二日酔いか何かでウーウーいって苦しんでいる時に、鼻歌でよろづよ八首を歌っているのをきいて、強く感動したことを思い出しました。
先日、知り合いの方がお亡くなりになりました。

僕と知り合った時にはすでにご病気だったのですが、僕のブラックユーモアを笑ってくれるような心の広い方でした。
すごく知ってる人ではなかったけど、でも、もっと安心させる言葉がいえたんじゃないかと ずっと考えていました。
本当はもっと何か(慰めになるようなことを)言いたかったけど、たまに会うことがあっても「僕のこと覚えていますか?」と聞くのが精一杯でした。

お亡くなりになる前日 ご家族にとても大事な話しをされたと聞きました。それはきっと普通に感じるよりも 濃密な時間だったと思います。

それを聞いて 「僕ごときが何かを言ったところで(あるいは、言わなかったことで)、何にもならなかったんだろうな」と思いました。何と言ったら良いか、何かホッとしました。
the third man.jpg映画「第三の男」をみました。
監督はキャロル・リード、脚本はグレアム・グリーンです。
※「情事の終わり」を最近読んだので、映画も見たくなって見ました。

本も演者も、さすが、しっかりしています。素晴らしい。
淀川長治さんが「映画の教科書」と言っていたのも納得します(「見事すぎて嫌いだ」とも言っています)。

粗悪なペニシリンを密売することで巨利を得るオーソン・ウェールズをジョセフ・コットンが非難する有名なシーン。子供がひどい目にあっているのを見て非難する友達に、オーソン・ウェールズがこう言い放ちます。

「ボルジア家の30年の圧政は、さまざまな芸術家を生みだしたが、スイスの平和な500年は鳩時計しか生まなかった。」

巻頭に淀川長治さんの解説があるのですが これがまたいいです。
最近 「ありがとう浜村淳」(MBSラジオ)を聞く機会が多かったので余計よかったです。
淀川さんと浜村さんを比べたら絶対ダメなんですけど。
ブログ開設から一年たちました。

このブログは誰も読んでいない、自分の嫁すらも読んでいないブログです。
それだから、たまに友達に「ブログ読んだよ」と言われるとうれしいです。

信仰心の少ない自分が「なるべく宗教的なことをトピックにして書こう」と努めて一年間書いてきました。
「お前ごときが、何も知らないくせに」と言われそうですね。その通りです、ごめんなさい。

一年たったからって何にもないですが、だからって、120年たったからって何か意味あるんかな、とかいったら本気で怒られますね。

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