アメン父を読みました

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「アメン父」(田中小実昌著)を読みました。

著者の田中小実昌さんのお父さんがモデルの小説です。
お父さんは独自の信仰を突き詰めたクリスチャンで、広島の呉市に十字架のない独立教会を設立しました。
プロテスタンティズムの極北、あるいは無教会主義みたいな話しですね(実際、カール・バルトや内村鑑三の話もでてきます)。

列車の中で、特高警察にマークされているお父さんが「いい機会だから」とその特高に伝道したというエピソードから、次のような文章が始まります。

父は大真面目な男だった。これは僕は真面目ではないのでよくわかる。僕は本当にマジメではない。自分はマジメではないと、かえってそれを自慢にし自負しているような男でも何かの時にちょろっとマジメさが覗く。しかし、僕はそんなことはない。でも、徹底して不真面目ともいえない。不真面目さに徹底はない。だらだらとマジメでないだけだ。

 ~略~
大マジメと破滅型と世間ではまったく逆なものと思っているが、大マジメならば破滅しますよ。すれっからしで、いいかげんな破滅型なんていない。
父は、肩肘はらないで、大マジメだった。

 ~略~

マジメさにたよる人、誠実を誇る人が、じつはどうしようもない人だってことが、父にはよくわかっていたにちがいない。誠実なのはいいことだ。しかし、ひとは どこまで誠実になり得るか。徹底的に誠実になんて言ってる者はそれこそ破滅型で、世間では、ほどほどに、というのがいいとされている。ほどほどになど、なにはともあれ、まことにイエスには遠いものではないか。
「アメン父」 田中小実昌

田中小実昌さんは、東大からテキヤになったり、ストリップの脚本を書いたりした人です。簡単な言葉ですごく複雑なことをいってます。
でも、単純な人にはわからないだろうなぁ、とか言ったら怒られますね。すみません。

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このページは、おぼんが2013年5月 8日 11:41に書いたブログ記事です。

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